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特別講演会
日 時 2004年1月16日(金) 9:00~10:30
内 容
住宅耐震改修の促進方策について

  国連地域開発センター 岡崎健二
 (神戸大学都市安全研究センター客員教授)
場 所 神戸大学工学部創造工学スタジオ 参加者45名
参加者 45名(4年生25名、院生10名、教職員8名、学外2名)
 

1.予防防災の重要性及び困難性

 災害で亡くなった命は、救援活動では戻らない。
 かけた費用の効果がすぐに見えてこないため、安全のための投資がなされにくい。

2.個人レベルのリスク認識と意志決定

 人のリスク認識及び意志決定は主観的で、人によって大きく異なる。
 災害によって失われるものには、資産価値と効用がある。資産価値は市場で評価できる客観的な価値であるのに比べ、効用は個人によって異なる主観的な価値である。リスク認識、意志決定が人によって異なるのは、この効用が主観的な価値であるためである。(効用を失う=命を失う、生活の場を失う)

  

3.リスクの主観性・個別性

 カーネマンとドヴァスキーの予測理論
 自分だけには災害にあわないと思う、楽観的な判断。

4.防災の動機づけ

 災害リスク確率は低く認識されがち → リスク確率の適切な認識(教育・啓発)
 効用が小さく認識されがち  → 失われる効用の適切な認識(教育・啓発)
 防災負担の軽減 → コスト低下(技術開発)
 
  
 

 集団的に考える 防災共育 
 リスク・コミュニケーション-専門家が不確実性や専門的情報を一般の人々にどのように正しく伝達するか。一般の人々の声を専門家にいかに伝えるか。

5.住宅の耐震改修の重要性

 住宅は安全になったか?

6.わが国の住宅の安全性・耐震改修の現況

 丈夫な住宅は街を救う

7.耐震改修を進めるために

 国家的キャンペーンの必要性
 耐震改修の実質コストを下げる(安全な住宅で固定資産税を低減)
 住宅再建援助との連動(改修した住宅に援助)

質疑

共同住宅の場合、住宅再建援助とのかかわりは難しいのでは。(大谷)
← 借家の場合も同様に難しく、ともに今後の課題。
耐震改修には余力が必要。出来ない人にいくらいっても実行されない。(越山)
← 住宅を建てる余力がある人は、あと1割の支出増で改修が出来る。
  途上国では、生活改善とあわせて進める。
タイムラグがある。対応がすぐにとれる人とそうでない人がいて、それまでに地震がきてしまう。(塩崎)
← 地震前に改修をしたひとには個人補償をする。出来なかった人には人道的な対応をする。



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